取り組みの背景
森松交通様は、長年地域に根差して営業されているタクシー会社です。日々の運行記録は手書きの紙日報で運用されており、運転士が業務終了後に記入、それを事務員が業務システムに手作業で転記するという流れでした。
お話を伺う中で、いくつか課題が見えてきました。
- 事務員の手入力作業に毎日多くの時間がかかっている
- 転記ミスが発生し、後から修正対応に追われる
- 複数の事務所で同じ作業を別々に行っている
- 将来的にはタブレット入力への移行も視野に入れたい
つまり、「紙の良さは残しつつ、転記作業をなくす」仕組みが必要でした。
DVERZのアプローチ
私たちが提案したのは、「紙日報を活かしたまま、デジタル化する」というアプローチでした。運転士の記入方法は変えず、事務員側のフローだけをデジタル化することで、現場への負担を最小化する設計です。
① OCRによる自動読み取り
紙日報を複合機でスキャンし、Google Cloud VisionのOCRエンジンで全文読み取り。手書きの数字・氏名・時刻・金額などをテキストデータとして抽出します。
② キーワードベースの値抽出
当初は座標ベースで値を取得する方式を検討しましたが、画像の向きや位置がスキャンごとに変わると破綻することが分かりました。そこで、「車両番号」「運転士名」などのキーワードを起点に近傍の値を抽出する方式に切り替え、撮影条件に左右されない安定した抽出を実現しています。
③ レビュー画面で人の目を通す
OCRと自動抽出で完結させるのではなく、事務員がブラウザ上でレビュー・修正できる画面を用意。「人の確認」を前提にした設計で、誤読をその場で訂正できる仕組みです。確認後は業務システム取込用のCSVを自動生成、既存の業務フローにそのまま接続できます。
④ 紙フォーマット改善の併走提案
システム側のチューニングだけでは精度に限界があるため、紙日報のフォーマット改善案を3パターン作成。最小変更(社員番号欄の追加のみ)から、全面リニューアル(マス目化+チェックボックス式)までを提示し、現場の運用負荷と精度向上のバランスを段階的に取れる選択肢をご提案しました。
段階的な進化を前提とした設計
このプロジェクトのもう一つの特徴は、「いきなり完璧を目指さない」設計思想です。
| フェーズ | 運用 | 主な目的 |
|---|---|---|
| 第1段階(現在) | 紙日報 + OCR自動化 | 事務員の転記工数を削減 |
| 第2段階(3〜6ヶ月後) | 紙フォーマット改善 | 抽出精度の向上 |
| 第3段階(将来) | タブレット入力への移行 | 紙そのものを廃止 |
最初から「紙を全部廃止してタブレット入力に切り替えてください」と提案するのではなく、現場のリアルなペースに合わせて段階的に進化できる設計を最優先しました。
技術スタック
| 領域 | 採用技術 |
|---|---|
| Webフレームワーク | FastAPI(Python) |
| OCRエンジン | Google Cloud Vision API |
| 認証 | Google OAuth 2.0(許可ユーザー限定ログイン) |
| UI | Jinja2テンプレート + 軽量CSS |
| サーバー | VPSでの運用予定 |
過剰な技術スタックは避け、少人数チームでも保守できるシンプルな構成にしました。クラウド料金も月額1,000円台で運用できる規模感を維持しています。
大切にしたこと
1. 現場のリアルを最優先
運転士の方々が長年使ってきた紙日報を、いきなり廃止することはしませんでした。デジタル化は「現場が困らない範囲で」進めるのが鉄則だと考えています。
2. 100%自動化を目指さない
OCRには必ず誤読がつきまといます。事務員の確認・修正を前提とした「半自動」にすることで、精度と運用安定性のバランスを取りました。
3. 「育てる」前提の納品
初回リリース後も、紙フォーマット改善の検討、CSV出力ロジックの拡張、運転士マスタ・顧客マスタとの照合機能など、運用しながら段階的に育てていく体制を継続しています。これがDVERZの「作って終わりじゃない、育てる伴走型」の典型例です。
“OCRで自動化してくれる業務システムは他にもありますが、DVERZさんは紙のフォーマット改善まで一緒に考えてくれた。現場目線で寄り添ってくれる姿勢が他の制作会社と全然違いました。”
— 森松交通株式会社 ご担当者様
業界・規模を問わず対応します
DVERZでは、Web制作にとどまらず、業務システム開発・OCR活用・データ自動化まで含めたDX支援に対応しています。「紙の業務をデジタルにしたい」「データ転記を自動化したい」といったお悩みは、業種を問わずぜひ一度ご相談ください。
製造業のDX、士業の業務効率化、物流の運行管理、医療の記録デジタル化など、業界を問わず対応可能です。無料Web診断から、現状の業務フローのご相談、お気軽にどうぞ。